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JRA projectJRA-55JRA-55アトラス

注意事項




図や数値データの利用について

JRA-55アトラスに掲載されている図や数値データの利用については、「気象庁ホームページについて」に準拠します。コンテンツを利用される際には、次のように出典を明記して下さい。
例; 図は気象庁JRA-55アトラスより引用 (http://jra.kishou.go.jp/JRA-55/atlas/jp/)


解析値と予報値について

JRA-55データには「解析値」と「予報値」という大きな2つの区分があります。JRA-55アトラスでは、データの信頼性から解析値が用意されている物理量については、できるだけ解析値を使って作図しています。ここでは、両者の違いについて簡単に説明します。

JRA-55はデータ同化という数値解析手法によって作成されています。データ同化とは、第一推定値と観測値を用いて物理的に整合のとれた大気物理量の分布(解析値)を求めることです。第一推定値とは、事前の知識などからもっともらしいと推定される大気物理量の分布で、そこに観測値の修正を加えたものが解析値と呼ばれます。

JRA-55では図1が示すように6時間毎のデータ同化サイクルを繰り返し行うことによって、長期間にわたる連続したデータを作成しています。ここで「予報値」とは、6時間前の解析値を初期値として数値予報モデルで予測された値です。 一方「解析値」とは、予報値を第一推定値として観測値による修正を行って得られた値です。

図1: 6時間毎に行われるデータ同化サイクルの模式図

従って、予報値に比べて解析値の方が、観測値による修正が加わる分だけ精度が高いと考えられますが、全ての物理量に解析値が存在する訳ではありません。例えば降水量では、降水量観測データをデータ同化に使っていないために解析値はありません。

作図に使用したのが解析値と予報値のどちらか知りたい場合は、各図の詳細説明をご覧ください。図2は地上気温の例ですが、使用したデータが地表面解析値であることが分かります。
図2: 各図のページに付けられた詳細説明の例(地上2m気温)

データの信頼性について

JRA-55は、「解析値と予報値について」で述べたように、物理的に整合性の取れた大気データですが、数値予報モデルと観測データを用いて計算された推定値です。従って、本アトラスに掲載されている気候図及び数値データを利用する際には、値にそれなりの誤差が含まれていることにご注意下さい。JRA-55の特性や誤差評価については、JRA-55総合報告論文(Kobayashi et al. 2015)をご覧ください。

JRA-55の評価の例として、解析値である気温と予報値である降水量について見てみます。 観測データとして比較に用いたのは、地上月気候値気象通報であるCLIMATデータですが、JRA-55は計算に用いたモデル格子内の平均的な値を表現している一方、CLIMATは1地点の値であるという違いがあることに注意が必要です。 CLIMAT報は世界各国から毎月送られてくる地上気象観測データで、国際連合の世界気象機関(WMO)に加盟している各国の気象機関が、日々の気象観測データから計算して相互に交換しているデータです。

図3は、世界の主な6地点の地上気温気候値(JRA-55は地上2m気温)の季節変化を表していますが、先ほど述べた注意点を考慮すれば、JRA-55は観測値と良く一致しているといえるでしょう。

図3: 月平均地上気温気候値の季節変化の比較

同様に月降水量気候値を見てみます(図4)。 季節変動が大きなインドについて比較していますが、観測値とJRA-55はともに同様の季節変化を示している一方で、地点によって多寡が見られます。
図4: 月降水量気候値の季節変化の比較。中央の図はGPCPによる年降水量気候値。

このように、一般的に予報値より解析値の方が観測値と整合性が良い傾向があります。 作図に使用したデータが解析値、予報値のどちらであるかは、「解析値と予報値について」で述べている各図の詳細説明をご覧ください。