気象庁55年長期再解析(JRA-55)を初期値・境界条件とした領域ダウンスケーリング
気象庁では、日本域における顕著現象の長期変化等の気候特性の把握や顕著事例の事例解析を行うことを目的として、気象庁55年長期再解析(JRA-55, 古林ほか 2015)を初期値・境界条件とした領域ダウンスケーリング(DSJRA-55, Kayaba et al. 2016)を1958年〜2012年の期間を対象に実施し、日本域の細かい地形を反映した現象を適切に再現可能な水平分解能5km格子の気候データセットを作成しました。
DSJRA-55プロダクトは、6時間毎に存在するJRA-55解析値を初期値として、2012年11月時点の気象庁の現業メソ数値予報モデル(MSM)(JMA 2013; 気象庁予報部 2008; 成田 2009, 2010; 長澤 2009a)による積分を行うことにより作成されたものです。
この初期値には雲物理量の情報が含まれていないため、予報初期に雨が降りにくく、降水量が過少となる傾向があります。これを回避するためには、予報開始直後に3〜6時間程度のスピンアップ(降水の立ち上がり)を行うことが有効です。また、55km解像度のJRA-55解析値は5km解像度MSMの初期値・境界条件としては解像度が粗く、地形の差異によってノイズが生ずる等の影響が無視できなくなることから、一旦中間の解像度の境界条件データを作成する必要があります。以上から、DSJRA-55では、まずJRA-55解析値から15km解像度MSM(5km解像度MSMの分解能のみを15kmにしたもの)で12時間積分を行い、その3時間目以降のデータを初期値、側面境界条件として5km解像度MSMで9時間積分を行って、その3〜9時間予報値をプロダクトとしています(図1、図2)。従って、DSJRA-55プロダクトはJRA-55解析値から見て6〜12時間後に当たることから、MSMの6〜12時間予報と同程度の誤差を含んでいることを理解した上でご利用ください(気象庁予報部 2009; 長澤 2009b)。
気象庁は、日本域における顕著現象の長期変化等の気候特性の把握や顕著事例の事例解析等の研究活動に広く利用していただくことを目的として、DSJRA-55プロダクトを提供します。
DSJRA-55プロダクトは地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム データ統合・解析システム(DIAS: Data Integration & Analysis System)から取得できます。
ご利用の際には以下の点にご留意ください。
DSJRA-55プロダクトの概要に関する利用手引書です。
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気象庁 情報基盤部 数値予報課